森林立地学会会長
髙木 正博
本年3月に開催されました森林立地学会理事会において2026~28年期の会長に選任されました。大久保達弘前会長の後を引き継ぎ,森林立地学会の発展に微力ながら努力してまいりたいと思っております。
森林立地学は森林植生とそれをとりまく環境要因,およびそれらの相互作用を対象とした学問分野です。森林立地学会の前身である森林立地懇話会は昭和34年(1959年)に設立されました。英名はその当初からThe Japanese Society of Forest Environmentを用いています。「立地」という日本語に対する英語として「environment」があててあることを,環境問題への関心から林学を専攻した学生時代に感心したことを思い出します。翌年の1960年3月には「森林立地」誌を発行しています。その当時の目次には土壌に関する論文が多く並び,forest environmentのなかでも特に土壌が主要な研究テーマであったことが分かります。実際にこれらの先輩諸氏の研究の成果によって,日本の森林土壌に対する理解と整理(分類)が大きく進みました。近年の「森林立地」誌においても森林土壌と植生の関係は主要なテーマです。一方で2011年の東日本大震災に伴う放射性物質と森林の関係,また津波被害を受けた海岸林とその再生といった,社会的要請に対応した研究成果の発表の場としても貢献しています。さらにここ数年,地球環境変動が生活の中で実感できるほどに具現化しつつあり,「森林立地」という名のもとに行われる研究の重要性はますまず大きくなっていると思われます。
森林立地学会の大きな特徴として,日本森林学会の開催にあわせた現地検討会やシンポジウムの開催が挙げられます。同じ興味と関心を持ちながら普段は直接に話す機会がなかなか無い仲間と,実際に森をみながら研究のみならず様々なことを語り合うのは大変楽しいものです。コロナ禍を経てインターネットを介したコミュニケーションが普及したのは確かですが,毎年盛況の現地検討会に参加すると,皆同様に感じているのではという思いを毎年強くします。また森林に関心のある方々を広く対象にした情報発信として,学会の創立50周年では「森のバランス 植物と土壌の相互作用」を記念出版し,創立60周年ではウェブサイト「森林を測定する」を開設しています。専門家の集まりである学術団体の社会的意義・貢献として,このようなアウトリーチ活動を積極的に行っていることも森林立地学会の特徴です。今後も,本学会に対する皆様のご理解とご協力を賜りますよう,何卒よろしくお願い申し上げます。





