ご挨拶

TangeKaicho森林立地学会会長 丹下 健

森林立地学会は,その前身である森林立地懇話会が昭和34年に設立されてから今年で53年目を迎えます。森林立地学は, 森林土壌を中心とした森林の環境と植生およびそれらの相互作用を対象とした学問分野です。荒廃した森林の生産力増強や,酸性雨や温暖化の森林生態系への影 響評価など,将来にわたる森林の健全性の維持や持続的な多面的機能の発揮に関わる森林の取り扱いにおいて重要な役割を期待される研究分野です。

その研究手法について,初代会長の大政正隆先生は「分析と総合が調和したものでなくてはいけない」と述べられています。測定機器の発達によって様々な データを森林で得ることができるようになりましたが,森林で起きている現象を分析的・総合的に観るためにどのデータが必要かに気づくためには,条件の異な る森林での多様な現象を観た豊富な経験が必要です。創立50周年記念特集として50巻2号に掲載された「会員からの寄稿」のなかでも,多くの会員が森林立 地研究におけるフィールド経験の重要性を指摘されるとともに,近年の研究者にとってたくさんの森林を観る機会が減っていることを危惧されています。

森林立地学会では,これまでも日本森林学会大会の際に現地研究会を企画し,若手会員が諸先輩方と一緒に森林や土壌断面を観て議論する機会を提供してきま した。森林立地学会がこれからの50年で大きな発展をし,社会により大きな貢献をする研究成果を発信していくためには,このような活動はさらに重要になっ てくるものと思います。

また,学会誌「森林立地」についても,会員の皆様の研究成果の発表媒体としての役割に加え,森林立地に関わる知見を集約し,共有化するための情報発信の機能を高めることも,今後の森林立地学の展開のためには必要と考えています。

森林立地学会は,昭和59年に日本学術会議の学術研究団体に初めて登録いたしましたが,学術誌の発行,現地研究会やシンポジウムの開催など,実質的には 創設以来,学術団体としての活動を行ってきております。今後も法人化せずに任意団体として活動を継続していく予定です。森林に関わる多様な課題に対して, 様々な専門性を持った多くの研究者や技術者,行政官の方々とともに取り組み,学術団体としての社会的評価をさらに高めるためにも,会員の皆様の学会活動へ の積極的な参画をお願い致します。