森林立地学会と60周年記念事業について

森林立地学会は60周年記念事業として、森林を測定する方法を解りやすく説明するサイトを立ち上げました。

環境問題に関心を持つ方々の活動の一助に

60周年記念事業に寄せて:森林立地学会 会長 丹下健

最近20年間で、主要な温室効果ガスである二酸化炭素の大気中濃度は370ppmほどから410ppmを超えるようになり、世界中で異常気象が頻発するようになりました。地球温暖化などの気候変化の急速な進行が、森林生態系の健全性に大きな影響を与えることが危惧されています。

森林生態系は、地球規模での炭素循環や水循環において重要な役割を果たしています。森林生態系の健全性が損なわれることは、さらなる地球環境の悪化を招くことになります。温室効果ガスは、日常生活に伴っても排出されており、地球温暖化防止は、すべての人が、当事者意識を持って取り組まないと解決しない問題です。

気候変化は、森林生態系だけではなく、公園などの樹木の生育にも影響を与えます。森林や樹木の健全性の変化は、長期に亘って観測することによって初めて明らかになります。環境や生物を定期的に観測し続けることは、地球環境変化を実感する機会となり、環境保全に貢献する身近な活動に取り組むきっかけにもなるのではないかと思います。

森林の環境や状態に関するデータの収集は、科学的な手法に即して行う必要があります。森林立地学会では、40周年記念事業として、主に研究者や大学院生を対象に、森林や樹木のデータの収集を科学的な方法で行うための手引き書として「森林立地調査法」を1999年に出版いたしました。この本は、これまで研究に携わってこなかった方には理解しにくい記述や、高額な機器が必要な測定方法も記載されています。

そこで60周年記念事業として、環境問題に関心を持つ高校生やNPO法人などの方々を主な対象として、比較的入手しやすい器具や装置を用いて森を測定する方法を解りやすく説明するサイトを立ち上げました。まだ限られた測定項目について掲載している状況ですが、順次、測定項目を増やしていきたいと思います。また、測定方法やデータの解釈等に関する質問を受け付ける窓口も設けました。

本サイトが、市民の方々の活動の一助となることを願っています。

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60周年事業製作委員会

委員長:丹下 健(東京大学)
副委員長:大久保 達弘(宇都宮大学)
委員:石塚 成宏、星野 大介、玉井 幸治、三浦 覚(森林総合研究所)
事務局:統括=平井 敬三、編集=篠宮 佳樹、HP製作=阪田 匡司、全般=田中 永晴(森林総合研究所)
Web製作:谷 明洋(科学コミュニケーター)

森林立地学会について

森林立地学会は,森林の育成に携わる研究者や技術者、行政担当者など多様な会員によって構成されています。森林土壌を中心とした森林の環境と植生およびそれらの相互作用に関する研究を発展させ、将来にわたる森林の健全性の維持や多面的機能の発揮に関わる森林の取り扱いに活かして行くことを目的に、学会誌や書籍の発行、シンポジウムの主催、実際に森林を見学する現地研究会などの活動を行っています。

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