森林立地54(1),2934 2012

Jpn J For Environ 54 (1), 29–34, 2012

 

福島県いわき市における落葉広葉樹二次林の構造と成長経過

 

右田千春・松本陽介・千葉幸弘

独立行政法人森林総合研究所

 

落葉広葉樹林二次林の林分構造および動態を解明するために,中ノ沢国有林(福島県いわき市)の約80年生落葉広葉樹二次林において14年間の成長過程を調べた。調査林を10m ×10mのサブプロット45個に区分して,1994年,2000年,2008年に,林内における立木配置,樹種,直径や樹高,光環境,リター量等を調査し,平面的な分布の違いや調査期間における各樹種の成長量を継続的に調査した。調査林内の平均開空度は,開葉直前の4月で48.0%,着葉期の8月で12.1%,落葉後の12月には50.4%であった。1994年における胸高断面積合計はミズナラ(9.2m2/ha),コナラ(7.7m2/ha),アカシデ(5.4m2/ha)の順に多く,2008年には11.1m2/ha10.0m2/ha7.7 m2/haになっていた。これらの優占樹種は2008年には林全体の76%を占めていた。本数密度,平均胸高直径,胸高断面積合計はそれぞれ,1994年に1,044/ha16.6cm29.2m2/ha2000年に1,504/ha14.0cm34.3m2/ha2008年に1,467/ha14.9cm37.8m2/haとなった。リター量から1993年,1994年,2008年における林分葉量は,それぞれ3.1ton/ha2.7ton/ha4.4/haと推定された。調査林全体の現存量は,1994年,2000年,2008年それぞれ158ton/ha180ton/ha203ton/haであり,サブプロットごとの現存量は88392ton/haの範囲にあった。年平均増加量は3.2ton/ha/yrであることが明らかになった。

キーワード胸高直径,胸高断面積合計,本数密度,地上部現存量,年平均増加量

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