森林立地学会誌 森林立地51(2),2009,137141

Jpn.J.For.Environment 51(2), 137-141  2009

 

年輪幅−容積密度関係を用いたスギ造林木の材積成長量の

重量成長量への変換の試み

 

丹下 健

東京大学大学院農学生命科学研究科

 

 

一定の年輪幅までは晩材率が変わらず容積密度が一定であり,それよりも広くなると晩材幅が変わらず容積密度が低下するという関係を前提において,材積成長量の重量成長量への変換を試みた。東京大学千葉演習林の91年生(2調査区,供試木数:計6本)及び密度の異なる9年生(9調査区,供試木数:計27本)スギ人工林で得た樹幹解析データを用いた。9年生調査地について,樹幹解析及び重量測定の結果に基づいて算出した幹の平均容積密度と年輪幅から推定した平均容積密度の間に正の相関が認められた。91年生調査地について,年輪幅から容積密度を推定した結果,16年生以降は最大値に近い容積密度の材が形成されていると推定された。両調査地について,胸高部の年輪幅から計算した容積密度を一律に適用した場合,幹の高さごとに年輪幅から容積密度を計算して材積成長量を重量成長量に変換し個体全体で積算した場合に比べて,最大で5%程度過大になることを示した。9年生調査地について,供試木で得た年輪幅を用いて推定した重量成長量と胸高直径の関係を全立木にあてはめ,調査区あたりの重量成長量を試算した。

キーワード年輪幅,容積密度,重量成長

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