降水量


降水量の簡易測定方法(森林立地調査法第Ⅴ章1降水量)

(文責:玉井幸治)

概要

 世界の中で比較的降水量の多い日本では身近には感じることは少ないかもしれませんが、降水量は気温に劣らず、それぞれの地域に自生する植生タイプを決定する重要な気象因子です。熱帯では降水量の多い地域から少ない地域にかけて、自生する植生タイプは熱帯雨林、熱帯季節林、熱帯サバンナ林へと推移します。また短時間に集中して発生する豪雨や長期間の寡雨は、それぞれ、洪水や干害などの災害をもたらします。そのためいくつかある気象観測項目の中でも降水量は、古くから観測されている基本的な項目の一つです。

降水量の測定

降水量の観測には「転倒ます型雨量計」がよく使用されます。この雨量計では雨が降っている最中での降水量の時間変動を測ることができます。しかし転倒ます型雨量計は機械的な動きを利用しているため、機械の調整や管理が必要であり、熟練した技術が必要です。そこでここでは、降水量の時間変動は測定できませんが、より簡便な方法を説明します。その方法は、漏斗で集めた水をポットに溜め(写真1)、溜まった雨水の重さを量る(写真2)という、「貯留型雨量計」に分類される手法です。

写真1 ポットと漏斗による簡便な「貯留式雨量計」(久保田多余子氏提供)

写真2 重量計でポットの中の水の重さを量る。(久保田多余子氏提供)

ポットに溜まった雨水の重さを、雨水の比重を1として体積に読み替え、漏斗の面積で除することによって降水量(mm)を求めることができます。

ポット内に溜まった水の体積(cm3) = ポット内に溜まった水の重さ(g)

降水量(mm) = ポット内に溜まった水の体積(cm3)/漏斗の面積(cm2)×10

写真のポットは銀色のシートで覆われています。それは、太陽光を反射してポット内の水の温度上昇を防いだり、容器内部に苔が発生するのを抑えたりするためです。写真にある観測地では雨水の水質も調査していたため、水温の上昇による水質の変化を防ぐためです。降水量を測定するだけならば、ポットを銀色のシートで覆う必要はありません。 漏斗の中にピンポン球を入れておけば、ポット内に溜まった水の蒸発やポット内へのゴミの侵入を防ぐことができます。ピンポン球は、雨が降っていない時には漏斗の底に密着してポットを密閉します。雨が降って漏斗に水が溜まるとピンポン球は水に浮き、雨水がポットに流入するようになります。

雨量計を設置する場所

雨量計の周囲に樹木や建物があると、雨滴がそれらにさえぎられて漏斗に入る雨滴が少なくなります。そのため、林外の降雨量を測定するためには、雨量計を設置する場所に立ち、地表から45度の角度で見回して、その角度以上の空間に建物や樹木などが入らない広場に設置する必要があります(図1)。樹木や建物が雨滴をさえぎり、漏斗に入る雨滴を少なくするからです。また風が強いと漏斗周りの風の流れが乱れ、漏斗に入る雨滴が少なくなります。建物の屋上や斜面の肩の部分は風が強いため、雨量計の設置場所としては不適切です。

図1 地表から45度の角度を見回して、その角度以上の空間が建物や樹木などによって
遮蔽されていないところに、雨量計を設置すること。

詳しくはこの本

森林立地調査法
第Ⅴ章 1降水量、森林立地調査法編集委員会編、156-159p 1999 博友社、東京